【柔道整復師向け】電気刺激療法の基礎② 効果
電気刺激療法の基礎 効果編
電気刺激療法の基礎シリーズ第2講座になります。
前回の電気刺激療法の基礎①概要も合わせて読んで頂ければより理解が深まります。
電気刺激療法の効果は大きく分けて以下の4つになります。
①鎮痛効果
②機能向上(筋力向上)
③細胞修復
④薬液浸透効果
①鎮痛効果
電気刺激療法は急性期と慢性期どちらの痛みに対しても有効です。
それぞれについて解説します。
急性痛(一次痛)に対しての電気刺激療法
概念
主に有髄(太い)AB線維に作用させ、Aδ線維からの痛みの伝達ゲートを遮断し疼痛コントロールします。
(ゲートコントロール理論)
急性痛時の刺激パラメータ
設定項目 | ポイント |
周波数 | 100~200Hz スイープモード |
パルス幅 | 10~20μsec |
刺激時間 | 10分以下 |
刺激強度 | 反応閾値前後まで |
自律神経 | 交感神経刺激 |
慢性痛(二次痛)に対しての電気刺激療法
概要
・低い周波数帯の電流刺激により、C線維からの痛みの伝達ゲートを遮断し疼痛コントロールします。
(ゲートコントロール理論)
・また、神経の興奮を抑制したり内因性除痛物質(オピオイドペプチド)の増加を図り、痛みを軽減します。
設定項目 | パラメータ・ポイント |
周波数 | 1~30Hz
1~15Hzか15~30Hzを使用 |
パルス幅 | 50~100μsec |
刺激時間 | 10分以下
内因性除痛物質狙いなら20分以上 |
刺激強度 | 反応閾値以下 |
自律神経 | 交感神経抑制狙い |
機能改善効果
・筋力強化
電気刺激によりすべての運動単位が発火し効率的な筋力トレーニングが可能となります。
通常の筋収縮
⇒まず小さい運動単位から大きい運動単位と移行する。
電気刺激による筋収縮
⇒すべての運動単位が一気に発火⇒筋収縮をしやすくなる。
そのため筋力強化以外の目的で電気刺激療法で筋肉を動かすと疲労しやすいので注意が必要です。
③組織修復効果
単相MES
組織は損傷時にマクロファージや白血球が集まります。
また時間が経過すると線維芽細胞が増殖してきます。
これらは電子を帯びているため電気刺激を与えると治癒に必要な物質が集まり早く修復されると考えられています。
単相MESの設定
・損傷直後:陽極に設定
・その後は:陽極と陰極を3日ごとに変更
・刺激強度:500μA以下
二相性MES
・現在のところメカニズムが分かっていません。
・ラットの皮膚欠損に対して単相性と二相性を比較したら二相性の方が創傷治癒を促進したとの報告もあります。
目的 | 刺激強度 | 刺激周波数 | 時間 |
疼痛軽減 | 500μA | 400Hz | 1時間 |
腫脹軽減
創傷治癒 |
50~250μA | 0,2Hz | 12時間 |
・現在のところ安価で効果の出る二相性MESの方が多く流通しています。
④薬液浸透効果
皮膚に微小な電流を流しイオン化した物質を経皮導入する方法で角質層の皮膚透過性を改善することができると考えれています。
薬液(消炎鎮痛軟膏)などを塗布しておくと浸透が早くなります。
⇒(消炎鎮痛軟膏を患者さんに使うと投薬となってしまうので医師以外が行うと医師法違反になります。)
柔道整復師の先生が自らケガをした際に自分に試してみて下さい。
電気刺激療法の基礎解説シリーズ
電気刺激療法の基礎② 効果
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