柔道整復学 理論編 膝関節部の軟部組織損傷 ➀半月板損傷、靭帯損傷

膝関節部の軟部組織損傷 半月板損傷・靭帯損傷

半月板損傷

発生
若年者:スポーツ外傷。膝屈伸時に下腿の回旋
内側半月多い
小児:形態異常(円板状半月)
高齢者:変性を基盤とした損傷。明らかな外傷がない場合もある

症状・所見
・関節裂隙を中心とした圧痛・荷重痛・引っ掛かり感を伴った運動痛
・陥頓症状、クリック、関節血腫
長期にわたる症状⇒大腿四頭筋萎縮

徒手検査ポイント:傷ついた半月板に圧迫力を加える

➀マックマレーテスト:股・膝最大屈曲で内外旋力を加えて下肢伸
⇒弾発症状、関節裂隙の疼痛
最終域での痛み:半月板後部
0°~90°での痛み:半月板中部

圧迫アプライテスト:腹臥位、膝90°屈曲。下腿長軸方向に圧迫

➂ワトソンジョーンズ(実技教科書):背臥位。膝関節過伸展強制

➃ステインマンテスト(実技教科書):背臥位・座位で膝屈曲位で内外旋

治療法(実技教科書)
患者の搬送の注意点
1.動揺防ぐ
2.松葉等で免荷

固定
肢位:膝関節軽度屈曲位
ギプスシャーレでの固定
期間:4~6週間
円板状半月での陥頓⇒引っ掛かり解除操作。2週程度テープや副子固定

側副靭帯損傷


内側>外側
前十字靭帯、内側半月の合併も多い

発生機序
内側側副靱帯は膝関節に強い外反力が加わり損傷する.

症状、所見
・運動痛や腫脹. 損傷部に限局した圧痛
・受傷時に断裂音(pop音)を自覚するものもある
・内側側副靱帯損傷では膝関節の外反動揺性が出現する.
徒手検査
靭帯損傷のテストのポイント⇒損傷靭帯に牽引力かける
テストも損傷組織に負荷をかける⇒損傷悪化に注意

➀(外反. 内反)動揺性テスト
膝伸展位と軽度屈曲位で行う

膝伸展位:複合損傷

軽度屈曲位:単独損傷

➁牽引アプライテスト
膝で大腿部を固定しながら牽引しつつ内旋外旋を加える

➂グラビティテスト(実技教科書)

患肢をベッドの外側にだす

治療法
「柔道整復学・実技編 改訂第2版』 p. 379.
固定
固定材料
金属副子、ギプス、厚紙副子、下巻き材、綿花、巻軸包帯など
固定法
a)ギプスシャーレ固定
方法:ギプス又は合成樹脂製キャスト材などでシリンダー状に巻き、硬化してから前後に二分し後ろの半分を使用し包帯で固定
範囲:大腿近位部~下端遠位端部
b)副子固定
下巻きをして、膝蓋骨周囲に綿花リング、膝関節内外側に厚紙または合成樹脂製キャスト材をあて包帯固定

c)包帯固定
ジョーンズ包帯、綿・弾性包帯などを用いて固定
固定後の確認
循環:脛骨動脈、足背動脈
神経:脛骨神経、腓骨神経

固定期間
・靭帯損傷の程度並びに不安定性や荷重痛の有無を考慮する
Ⅰ度損傷:2~3週の包帯固定
Ⅱ~Ⅲ度損傷:2~3週の硬性材料による固定
さらに数週、軟性材料や装具固定

十字靱帯損傷

前十字靱帯損傷

発生機序
l.非接触型損傷
急激な停止やジャンプの着地、急な方向転換などで発生
大腿四頭筋の自家筋力が発生に関与していると考えられている
単独損傷が多い


10代女性に好発

2.接触型損傷
柔道やラグビーのタックルなどで膝関節に外転・回聢が強制され発生.
合併症多い⇒内側側副靭帯、内側半月など

症状,所見
・受傷時には膝がずれた感覚
・断裂音(pop音)を自覚
・受傷直後から疼痛と膝の不安定感⇒スポーツ活動などの続行は困難
受傷数時間後から関節血腫による膝の腫脹を認め,腫脹の増大とともに膝関節の屈曲が著しく制限される.
確定診断⇒MRI像
骨挫傷の併発もある.

徒手検査
➀前方引き出しテストanterior drawer test:股45°、膝90°
脛骨の前方変位をみる

➁ラックマンLachman膝10~30°⇒抵抗確認

➂Nテスト(実技教科書)
脛骨の前外側回旋不安定性の誘発

➃ラテラルピボットシフトテスト(実技教科書)
Nテストの逆動作。膝伸展位からのリバーステストで前外側回旋不安定性整復テスト

治療法
「柔道整復学・実技編 改訂第2版」 p. 370
固定
膝関節軽度屈曲位で硬性固定材料を用いての固定や、軟性材料のみの固定
⇒患者に合わせて選択
固定材料
金属副子、合成樹脂製キャスト材、厚紙副子、絆創膏(非伸縮性テープ)、下巻き材、巻軸包帯、綿花など
固定法
a)応急手当
厚紙副子で膝蓋上包を圧迫し、膝屈曲は綿花枕子などで調整
循環障害・神経障害に注意

b)良肢位ギプスシャーレ固定
肢位:膝軽度屈曲位
範囲:大腿近位~下腿遠位部
方法
➀下巻き材で皮膚を保護する
➁合成樹脂製キャスト材で全周巻く
➂シャーレとするためマーキング
➃マーキング部を切開し後面半分を使い包帯で巻く

固定後の確認
循環:脛骨動脈、足背動脈
神経:脛骨神経、腓骨神経

固定期間
・靭帯損傷の程度並びに不安定性や荷重痛の有無を考慮する
Ⅰ,Ⅱ度損傷で損傷程度が軽度で不安定性のないもの⇒膝軽度屈曲位、2~4週固定
Ⅲ度損傷(完全断裂)⇒初期にシャーレやギプス固定。その後手術も検討。

2.後十字靱帯損傷


発生機序
・交通事故(ダッシュボード損傷. オートバイ事故)
・スポーツ活動中の激しい接触
膝関節屈曲位で脛骨粗面部を強打して発生。膝関節の過屈曲や過伸展で損傷するものもある.

症状
・受傷直後から疼痛と膝の不安定感
・疼痛:運動時、立ち上がり動作に膝後面

徒手検査
➀後方引き出しテスト

➁後方落ち込み徴候sag sign

治療法
他の靱帯損傷に準ずる.
高度な不安定性を有する活動性の高い患者⇒観血療法の適応がある.

参考文献
「柔道整復学・理論編」南江堂 改訂第6版

「柔道整復学・実技編」南江堂 改訂第2版

fukuchan

柔道整復師、鍼灸師、医薬品登録販売者として治療院を開業しています。 柔道整復師、鍼灸師を目指す学生さん向けに、オリジナルイラストを使って教科書をわかりやすくして発信しています。

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