柔道整復学 理論編 足根骨骨折(距骨骨折と踵骨骨折)

足根骨骨折

距骨骨折

比較的まれな骨折
単純Ⅹ線像では周囲骨と重なるため見落とされやすい
難治性の理由
・栄養血管走行の特異性, 骨表面の約60%が関節軟骨(膜性骨化(横径成長)得られない)軟骨性骨化
・筋の停止部がない
・転位を伴うと脱臼を合併
⇒重篤な機能障害を残すものがある
阻血性骨壊死例:数年にわたり全荷重が制限されることがあり, 足関節部の損傷においては常に念頭において診察に当たらなければならない.発生頻度は頸部骨折や体部骨折が多いとされている.
分類
( 1 )頸部骨折
( 2 )体部骨折
( 3 )後突起骨折
( 4 )外側突起骨折

発生機序
➀頸部骨折:高所から落下+足関節伸展(背屈)強制で距骨頸部が脛骨遠位前縁に衝突
②体部骨折:高所から落下し,脛骨と踵骨の間で圧迫
③後突起骨折:足関節が屈曲(底屈)強制。後突起が脛骨遠位端後縁と衝突して発生
④外側突起骨折:足関節伸展(背屈)強制で内転あるいは軸圧,外反,外旋など。スノーボードによる発生の報告が多い.

症状
① 転位のない骨折⇒捻挫と誤診されやすい
⇒捻挫と比較して腫脹が強く,距骨骨折部の限局性圧痛,荷重痛,足関節伸展(背屈)時あるいは底屈時痛
➁頸部・体部骨折で転位のある場合⇒脱臼を伴うことが多く,骨片が足背または後方に突出.
➂頸部・体部骨折で骨片が後方に転位した場合
後脛骨動脈, 脛骨神経.足関節後方の循環障害、皮膚壊死などがみられる
その中でも長母趾屈筋腱が圧迫されると、第1趾が直角に屈曲⇒ナウマンNaumann徴候

④後突起骨折は足関節屈曲(底屈)時に足関節後方、アキレス腱の深部に疼痛を訴える
⑤外側突起骨折は外果の深部に圧痛や荷重痛があるが. 外側靱帯損傷と症状が類似
・距骨滑車の骨飲骨骨折⇒見落とし注意(観血療法の適応がある.)
・単純X線像で後突起骨折は, この部位にしばしばみられる三角骨と類似する. 三角骨は. 骨片のように辺縁が尖鋭的でなく滑らかな線である.
外側突起は腓骨外果と踵骨に挟まれた位置にあり. 単純Ⅹ線像では周囲骨と重なり骨折が見落とされやすい
⇒CT像などの有用性が報告
治療法
転位のない頸部骨折や体部骨折
原則:固定と患部の安静
高度の圧迫骨折,転位大きい骨折⇒観血療法の適応がある.
いすれも骨壊死の可能性があり荷重開始時期に慎重な判必要
後突起骨折、外側突起骨折で転位のないもの⇒副子固定を行う

免荷期間
頸部・体部骨折:6 ~ 12週
外側突起骨折:4 ~ 6週
後突起骨折:4 ~ 5週固定後,体重を負荷する
荷重開始は慎重に行い, PTB装具の利用後に部分荷重などから行う
頸部や体部骨折における荷重時期は専門医の判断が必要
予後
体部の阻血性壊死

変形性関節症を基盤とした荷重痛の残存

足関節や足部の可動域制限 の機能障害が残存

踵骨骨折

・足根骨中最大の骨
・足根骨骨折でもっとも発生頻度が高い.
・薄い緻密質上に距骨などとの複雑な形態の関節面を有するため、関節内骨折内骨折となる可能性が高い
・腱,神経などに起因した後遺症残しやすい.
・受傷機序から脊椎椎体圧迫骨折
分類
( 1 )踵骨隆起骨折
( 2 )水平骨折(鴨嘴(おうし)状骨折)
( 3 )載距突起骨折
( 4 )前方突起骨折
( 5 )踵骨体部骨折( 関節面に骨折が波及するもの、関節面に骨折が波及しないもの)

 

関節内外分類
後距踵関節を
・含まないもの(関節外骨折)⇒予後〇
・含むもの(関節内骨折)⇒予後
整復後の評価も関節面の適合が重要である

発生
・高所からの転落や飛び降りによる直達外力(最多)
・下腿三頭筋の収縮によるアキレス既の急激な牽引⇒水平骨折(鴨嘴状骨折)
・足部の内反による二分靱帯の牽引⇒前方突起骨折
水平骨折にみえるものの中に飛び降りて体部骨折後にアキレス腱により牽引されて離開転位するものがあるので注意

症状
( 1 )患肢荷重不能
( 2 )腫脹:踵骨部にもっとも強く,足関節部まで波及
( 3 )皮下出血斑:踵骨両側および足底
( 4 )距腿関節屈伸運動:可能であるが,骨折が距踵関節に及ぶと足部の回内・回外運動は制限され,強制すると激痛
( 5 )踵骨体部と隆起部の骨性連絡が断たれたものは,足関節の屈曲(底屈)が強く制限
( 6 )水平骨折や体部骨折:べーラーBöhler角が減少
( 7 )前方突起骨折は,前距腓靱帯損傷との合併,二分靱帯損傷と鑑別する.圧痛点が前距腓靱帯部よりも1.5 ~ 2cm遠位で下方1 cm付近に存在し, 同部位を中心に腫脹,皮下出血

治療法
骨折の状況を正確に把握することが第一である.
水平骨折(鴨嘴(おうし)状骨折)
整復
膝関節を90°に屈曲し,足関節を屈曲(底屈)してアキレス腱を十分に弛緩させ,骨片を指で圧迫して整復する.
整復不能もしくは整復位が保持できない⇒観血療法の適応
固定肢位:大腿中央から足MTP関節部まで足関節屈曲(底屈)位で足底アーチを保固定する.
3 ~4週で良肢位に変更。
固定期間中も超音波などの物理療法を積極的に行定除去後も足底アーチを保持することを心がける.
固定期間:6週

前方突起骨折
転位のない例
肢位:足関節0°
期間:3 ~ 5週固定
骨片が大きく関節面に及ぶ例
⇒観血的整復
骨片が小さな場合は摘出が行われることもある

体部骨折
「柔道整復学・実技編改訂第2版』p. 322踵骨体部
整復
患者:腹臥位、膝90°屈曲
助手:大腿遠位部を固定。整復の際に足底方向へ引き上げる
術者:両手の手掌部で踵骨を左右から包み込み、上方へ引き上げながら内反と外反を繰り返す
次いで両母指球で踵骨部に側方圧迫を加える
足底方向への牽引によりベーラー角改善
固定
肢位:足軽度屈曲位
期間:4~6週間
副子:金属副子を足底から下腿後面にかけてあてる
整復後も経過とともに腫脹が増加するため、数日は副子固定として巻きなおしできる状態がよい
急性期後:腫脹が軽減し始めたら合成樹脂キャスト材で大腿中央部から足MP関節手前まで固定
踵骨骨折でとくに留意すべき点
( 1 )足底アーチ保持のため足底部筋,靱帯の機能低下防止
( 2 )足部の慢性浮腫予防,防止
( 3 )足部疼痛管理
(4)距踵関節面の転位状況
予後
変形癒合:横径の増大、外傷性偏平足
腓骨筋腱腱鞘炎
変形性関節症
慢性浮腫
ズデッグ骨萎縮
荷重痛⇒アキレス腱周囲炎
踵骨は疲労骨折にも注意。年齢は様々
足底版で衝撃吸収対応

fukuchan

柔道整復師、鍼灸師、医薬品登録販売者として治療院を開業しています。 柔道整復師、鍼灸師を目指す学生さん向けに、オリジナルイラストを使って教科書をわかりやすくして発信しています。

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