柔道整復学・理論編 鎖骨の骨折

鎖骨骨折

概要
・発生頻度は高く、介達多い
・小児→不全骨折(若木骨折) 予後は良好
大人→転位高度、第三骨片、過剰仮骨形成、遷延治癒

 

(発生)
肩外転、肘伸展位で手をつく
鎖骨中外1/3の発生が多い

(転位)
完全骨折
近位骨片・・・上方やや後方(胸鎖乳突筋)
遠位骨片・・・下垂(上肢の重さ)+短縮(大・小胸筋)

不全骨折
上方凸の屈曲変形
異常可動性などは出現しづらい

(症状)
1. 頭部患側に傾ける(胸鎖乳突筋をゆるめるため)
2. 患側の肩下垂
3. 肩幅減少
4. 異常可動性、軋轢音、腫脹は著明
5. 血腫形成
6. 皮下出血、上肢運動制限

(整復)

整復前確認→①腕神経叢➁鎖骨下動脈③胸郭損傷(肺)
1. 幼小児の若木骨折
上方から軽い圧迫

2. 臥位整復法(鎖骨整復台使用)
➀診察台と同じ高さにした鎖骨整復台に患者を背部が診察台から十分に出る位置で寝かせる
➁患者に頭部を患側に傾け、両肩関節が外転・外旋させ力を抜き後方に自然伸展し体全体の力を抜くように指示する
➂しばらくこの状態にしておくと、筋の緊張が緩み整復される
➃整復不十分な場合は患側腋窩に沈子を入れ、患者の両肩関節を軽度外転・内旋・伸展位で両手部を両側副に位置させる。この位置で助手に患者の前方からバランスよく両肩部を後外方に圧迫させ短縮転位をとる
⑤術者は一方の手で患側上肢を外旋し、上腕部を内転するとともに情報に突き上げ、肩甲骨を上方に移動させる
。このとき、他方の手で近位骨折端を下方に圧迫し、近位骨片と遠位骨片とを適合させ整復する
ついで、上腕部を内旋軽度外転位にして固定に移る

整復台のメリット
整復位のまま固定に移れるので再転位を防げる

3.座位整復法
➀患者を診察台または椅子に端座位とする
患肢肘屈曲位で上肢台のせ、上肢の重量を十分に除去する
患側の頭部を患側に傾け、筋の緊張を緩める

➁第1助手に患者の後方に位置させ、膝頭を脊柱部に当てさせる
両肩部の上前面から、あるいは両腋窩部に手を入れて両肩部を後外方へ引き短縮転位を取らせる。

➂第2助手には、患者の前方に位置させ、患肢の上腕部および前腕部を把持して上腕骨軸を上外方に持ち上げ(肩甲骨の挙上、内転)下方に転位している縁に骨片を近位骨片に近づけさせる

➃術者は、患者の前方に位置し両手で両骨折端部を把持する。
第2助手の操作時に近位骨片に適合させる

(固定)
基本姿勢:両肩甲骨を後上方に挙上した胸を張った姿勢

固定材料
三角巾、背側8字帯、リング、鎖骨バンド、デゾー包帯、ギプス包帯、厚紙、綿花など

固定の種類
➀8字帯固定
包帯を用いて、背側部8字帯などで固定

➁デゾー包帯

➂セイヤー絆創膏固定
転位の少ない例に使用
腋窩枕子、末梢牽引を行うためのテコの支点
第1帯:「肩を外方にひき鎖骨の短縮転位を防止」
患側上腕肘部前面⇒背部を回る⇒健側の側胸部

第2帯:「患肢を挙上させて遠位骨片の下方転位を防止」
健側の肩⇒胸部を斜めに下行⇒患側の肘⇒背部を上行⇒はじめの位置

第3帯:「前腕の重量で骨折部を圧迫」
骨折部位近位骨片の上⇒下行して前腕を回る⇒前胸部を捻転し最初に添付した絆創膏に重ねる⇒最初の位置へに固定

固定法の手順(実技教科書)
➀整復後ただちに近位骨片端に綿花沈子をあて、絆創膏を下方に圧迫しながら添付
➁両腋窩部に長方形の沈子をあて両肩部にリングをかけ、胸郭拡大を保持しリングを縛る。
結び目が背中に当たらないように綿花などの緩衝材を入れる
➂シップをあて、麦穂帯
➃胸郭拡大を保持し三角巾で提肘

固定期間
幼児の若木骨折:2~3週間
成人:4~6週間
8~9週間で8字固定除去

(合併症・後遺症)
1. 神経血管障害・・・腕神経叢、鎖骨下動脈損傷
2. 胸膜・肺尖損傷・・・気胸・血胸
3. 変形治癒
4. 偽関節
5. 変形性関節症

(保存の限界)
1. 鎖骨外1/3骨折で烏口鎖骨靭帯損傷があり近位骨片が情報に浮き、骨癒合不能ないなるおそれのあるもの
2. 第三骨片が直立し皮膚貫通のおそれがあるもの
3. 粉砕などで整復位困難なもの

fukuchan

柔道整復師、鍼灸師、医薬品登録販売者として治療院を開業しています。 柔道整復師、鍼灸師を目指す学生さん向けに、オリジナルイラストを使って教科書をわかりやすくして発信しています。

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