柔道整復学 理論編 中手骨骨折
中手骨骨折
発生頻度
指骨骨折>中手骨骨折>手根骨骨折
(分類)
a. 骨頭部骨折
b. 頸部骨折
c. 骨幹部骨折
d. 基部骨折
a.中手骨骨頭部骨折
圧砕によるもので粉砕骨折になる
観血療法適応
b.中手骨頸部骨折(ボクサー骨折、パンチ骨折)
(発生)
拳を強打することで発生
第4、5中手骨に好発
(症状)
背側凸変形(外力、骨間筋、虫様筋)
(整復法)
➀手関節軽度背屈
➁中手指節関節90°屈曲(側副靭帯の緊張をさせるため)
③中手骨長軸末梢方向に牽引しつつ遠位骨片を背側に突き上げる
➃一方の手では一側凸に変形した近位骨片骨折端に圧迫を加えて整復
(固定)
肢位:手関節軽度背屈、MP関節(40~70°)屈曲位IP軽度屈曲位
範囲:前腕遠位1/3部より指尖にかけて固定
期間:3~5週間
c.中手骨骨幹部骨折
横骨折、斜骨折、らせん状骨折などが生じる
(発生)
横骨折:手背を強打するなど直達。開放性になりやすい
斜、らせん骨折:拳で物を強打するなど介達外力
(転位)
横骨折
遠位骨片は掌側に屈曲。(背側凸変形)
斜、らせん骨折
回旋転位と短縮転位
回旋転位はオーバーラッピングフィンガーを招くので注意(2、5中手骨で著明)
(整復)
➀一方の手で患指を長軸方向に末梢牽引
➁他方の手で骨折部を把握し対牽引
③両母指で背側から掌側へ圧迫し整復
(転位ある骨折の固定)
※隣接指を含めて固定し短縮、捻転転位を残さないようにする。
範囲:掌側は前腕屈側から指尖まで。背側は前腕伸側からMP手前まで。
肢位:手関節背屈、MP関節20~45°、PIP関節90°DIP関節45°屈曲位
期間:4~6週
(転位のない骨折の固定)
範囲:掌側に前腕中央から指尖まで
期間:3週間
肢位:手関節軽度伸展位、MP関節20~30°、PIP関節40~50°DIP関節15~25°
d.第1中手骨基部骨折
ベネット骨折、ローランド骨折、骨端線離開などに分けられる
1. ベネット骨折(第1中手骨基部掌尺側面の脱臼骨折)
(発生)
・屈曲内転時に末梢からの介達外力
・第1指に急激な外転力
同時に遠位骨片は関節包を破り橈側に脱臼
(症状)
➀転位
近位骨片(小骨片):正常
遠位骨片(大骨片):橈側に転位し中枢に引かれる(長母指外転筋)
内転屈曲変形(母指内転筋)
➁基部の腫脹、限局性圧痛
③第1指の内外転不能
(整復)
肢位:手関節背屈、撓屈
術者:母指を握り末梢牽引しながら橈側外転して、基部を橈・背側から尺・掌側に向けて圧迫して整復
(固定法)
肢位:手関節背屈・撓屈、第1中手指節関節最大外転位で、骨折部に沈子をあてる
範囲:前腕遠位端から基節骨まで
2.ローランド骨折
ベネット骨折+掌尺側の小骨片に加えて背側にも骨片を有する。
Y、T、V字型の関節包内骨折
e.第5中手骨基部骨折(逆ベネット骨折)
尺側手根伸筋群に牽引されて、第5手根中手関節(CM)関節内に三角形の骨片を残して亜脱臼する
整復不十分では、観血療法も適応
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