【柔道整復師向け】電気刺激療法の基礎① 概要
電気刺激療法の基礎
電気刺激療法とは?
⇒微弱な電流を生体に通して筋・神経を刺激し興奮させ生体反応を起こさせる療法。
大きく分けて治療的電気刺激(TES)と機能的電気刺激(FES)に分けれられる。
周波数による分類
周波数 | 種類 | |
低周波 | 1000Hz以下 | TENS、MCR、ハイボルテージ、低周波領域EMS等 |
中周波 | 1001~10000Hz以上 | 干渉波、中周波領域のEMS |
高周波 | 10001Hz以上 | 超音波、超短波 |
・基本的に低周波よりも、中周波の方が皮膚抵抗は少なく深部に効果をもたらすと考えられている。
・高周波までいくと筋収縮はおきなくなり温熱作用となる。
・人の神経に反応するのは低周波刺激のみ。
電気刺激の強度を決める要素
➀刺激強度
②刺激時間
③刺激頻度
④刺激波形
⑤刺激間隔
⑥極性
⑦電極
特に重要な要素が刺激強度、刺激時間、刺激頻度
➀刺激強度:電気刺激を行う量、あるいは強度のこと
・皮膚の抵抗により異なります。
(例)
上腕内側:皮膚薄い(皮膚抵抗低い)⇒少ない電気刺激で十分
足底など:皮膚厚い(皮膚抵抗高い)⇒多くの電気刺激が必要
・流す電流は電圧/抵抗で決まる。
➁刺激時間:1回の電気刺激を行う時間のこと
・「パルス幅」「パルス持続時間」ともいう。
・同じ刺激強度でもパルス幅が長い方が刺激が強い
=筋収縮が起きやすい
・設定により変更可能な機械とできないものがある。
筋収縮をさせたい場合、させたくない場合に合わせて変えると有効。
➂刺激頻度:1秒間に行う電気刺激の頻度のこと。(別名、周波数)
1Hz=1秒間に1回刺激が入る。
5Hz=1秒間に5回刺激が入る。
周波数による筋収縮の様式
・1Hz⇒短縮
・15Hz⇒完全強縮
周波数による発現物質の違い
2~5Hz | エンケファリン、Bエンドルフィン |
50~100Hz | ダイノルフィン |
200Hz以上 | ノルアドレナリン、セロトニン |
※内因性オピオイドを出す時間⇒20分以上(5時間効果がでると言われている)
狙う筋収縮や鎮痛物質により周波数を変えることが治療のポイント!
➃刺激波形:刺激の立ち上がりや変化。
矩形波、三角波、ツインピーク波(HV)などがある。
⑤刺激間隔:何秒間電気刺激を入れ何秒間休止させるかという時間の割合のこと。
目的に合わせて変更させる。
(例)
・4秒間刺激、4秒間休止
・6秒間刺激、2秒間休止
・休止なしでずっと刺激
⑥極性
・単相性:プラスとマイナスが同じ導子に流れ続ける。
・二相性:プラスマイナスが入れ替わる。
・現在の主流はほとんど二相性の刺激を使われている
電療の極性効果
作用 | イオン透過性 | 閾値 | ph | |
プラス | 興奮作用 | 減少 | 下行 | 酸性 |
マイナス | 鎮静作用 | 増大 | 上昇 | アルカリ性 |
⑦電極
・生体に電流を流す接点。主に濡らしたスポンジか粘着パッドを使用する。
パッドとスポンジの特徴
スポンジ | 粘着パッド | |
固定方法 | 吸引固定:吸引装置による固定。跡がつくことがある。
バンド固定:バンドで固定。手間がかかる。 |
そのまま添付可能 |
凸凹した部位 | 吸引パッドが浮いたりし外れやすい。
固定がずれることがある。 |
対応可能。
部位によってはパッド浮く。 |
体毛濃い部位 | 問題ない | パッドが浮いてしまいやすい。
剃る場合もある |
カサカサの肌 | 問題ない | 使用不能になることある。
事前に多少湿らす必要あり |
耐久度 | パッドより高い | 使う部位の状態、頻度、乾燥状態によるがスポンジより消耗が速い |
電気熱傷 | 十分な水分がないと発生する可能性あり。 | 劣化し乾燥すると電気火傷の可能性あり。
特にはがれ掛けて一部分だけ流れてしまうと危険。 |
運動 | 吸引パッドが外れやすい。 | 可能。
粘着力が弱っていると外れる。 |
価格 | 1個600~1200円
※メーカーやサイズにより幅あり。 |
5×5cm 4枚セット800~1000円
※メーカーやサイズにより幅あり |
電極の張り方
A:単極法と双極法
単極法
・導子のサイズを変える。
・刺激を関導子に集めやすい。
・一般的に不関導子は3倍以上のものを用いる。
・超音波とのコンビネーション治療に用いられる。
双極法
・2つの導子を同じサイズのもので行う。
・2つとも同じ電流密度となる。
B:電極位置
・状態や治療目的により異なる。
・筋収縮を狙うのであれば「モーターポイント」を狙うと有効。
⇒筋腹の近位1/2~1/3に存在することが多い。
・自律神経コントロールでは四肢や脊椎に添付する。
C:電極の距離と深さ
狙う深さにより電極の距離を変える。
電極間の距離が広い:電流が深部を通過
電極間の距離が狭い:電流が浅部を通過
電気刺激療法の基礎解説シリーズ
電気刺激療法の基礎① 概説
1件の返信
[…] 前回の電気刺激療法の基礎①概要も合わせて読んで頂ければより理解が深まります。 […]