【柔整 各論】上腕骨外科頸外転型骨折
上腕骨外科頸外転型骨折 診察(必修)
発生
・好発年齢:高齢者
・介達外力による発生が多い。(肘や手を衝く)
内転型・外転型の違い
上腕骨軸 | 近位骨片 | 遠位骨片 | 変形 | 固定 | |
外転型 | 骨折端部内方 | 軽度内転 | 軽度外転 | 前内方凸 | 内転位 |
内転型 | 骨折端部外方 | 軽度外転 | 軽度内転 | 前外方凸 | 外転位 |
症状
・上腕軸の骨折端は内側に向き前内方凸変形
・腫脹著明
・皮下出血:経時的に上腕内側から肘,前胸部に出現
・異常性可動性,軋轢音:咬合が多く確認できないことがある。
・機能障害:噛合骨折の場合わずかに自動運動可能
・肘屈曲位で軸圧痛
・限局性圧痛
肩関節前方脱臼との鑑別ポイント
上腕骨外科頸骨折 | 肩関節前方脱臼 | |
肩の膨隆 | 血腫著明 | 膨隆消失 |
骨頭 | 肩峰下に触知 | 位置異常 |
関節運動 | ある程度可能 | 弾発性固定 |
合併症
・肩関節脱臼
・腋窩神経損傷
・腋窩動脈損傷
・関節不安定性
上腕骨外科頸骨折 整復(必修)
整復前の合併症確認
・腋窩動脈損傷⇒橈骨動脈の拍動確認
・腋窩神経損傷⇒三角筋部の感覚確認
患者の脱衣:健側から脱衣,脱衣時に患肢保持する。
整復操作
患者
背臥位とする。
第1助手
患者頭側に立ち帯などで上内方に牽引・固定。
第2助手
①肘90度屈曲位で上腕遠位部および前腕把持。
➁牽引しながら上腕部外転【短縮除去】
➂牽引したまま内転【内方転位除去】
④牽引を持続し遠位骨片を前方挙上
術者
・第2助手の③と同時に骨折端を外方引き出し【内転除去】
・第2助手の④と同時に,小指球で遠位骨片を前方から圧迫【前方転位整復】
整復後確認
・全身状態の確認⇒特に高齢者
・変形消失
・腋窩神経,腋窩動脈損傷の確認
上腕骨外科頸骨折 固定
材料:金属副子,すだれ副子,綿花枕子,巻軸包帯
肢位
肩関節外転30°、水平屈曲30~40°
肘関節屈曲90°、前腕中間位
固定法
➀腋窩枕子挿入、外側遠位に綿花枕子,内外側からすだれ副子固定。
➁骨折部前面に綿花枕子をあて、スダレ副子を前後側から固定。
➂金属副子を肩関節部から手MP関節部手前まであてる。
➃固定材料と共に患肢を包帯でまく。
特殊な外科頸骨折固定:ハンディングキャスト
固定後の確認
・腋窩神経,腋窩動脈を圧迫していないか確認。
・強固な固定,長期の固定は(肩・肘)関節拘縮なりやすいので注意。
予後
骨癒合は良好であるが肩関節の可動域制限を残しやすい。
参考文献
柔道整復学 理論編 第6版 南江堂
柔道整復学 実技編 第2版 南江堂
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