柔道整復学 理論編 前腕骨近位端部骨折
前腕骨近位端部骨折
a.橈骨近位端部骨折
(発生)
・介達外力:前腕回内位で手掌をつく
・頭部→成人 頸部→小児
・関節包内骨折
(症状)
➀腫脹:関節内のため比較的軽度
➁疼痛:前腕回旋運動、長軸圧、完全伸展時に激痛
③機能障害:回旋障害、肘の屈伸
➃変形:外反変形
(整復法)
患者:背臥位で患肢伸展
助手:上腕を固定
術者:患肢と同側の手で手関節を握り、他方の手で肘を保持し患肢前腕を内転させる。
肘を握っている手の母指を転位した橈骨近位端上に置き、十分な牽引とともに橈骨頭を上内側へ強く圧迫する。
次に前腕を回外のまま肘関節を鋭角屈曲させる
(固定)
肢位:直角屈曲位、前腕回外
範囲:上腕近位端からMP関節手前まで
期間:小児2~3週間 成人3~4週間
(合併・後遺症)
➀上腕骨小頭骨折、内側上顆骨折、肘頭骨折、肘関節後方脱臼
➁関節内遊離体
➂骨折線の早期閉鎖⇒外反肘
※肘関節機能障害残すケースもあり
※内反肘変形起こしやすい骨折:上腕骨骨幹部骨折(肘に近い部位)、上腕骨顆上骨折
※外反肘骨折起こしやすい骨折:上腕骨外顆骨折、橈骨近位端部骨折
b.肘頭骨折
(発生)
・成人>小児
直達外力:肘屈曲位で肘頭強打
介達外力:肘過伸展で、肘頭が上腕骨遠位端の肘頭窩と衝突(前方脱臼)。上腕三頭筋による裂離骨折
(分類)
a.裂離骨折
b.完全骨折
c.関節外型
d.粉砕型
転位のない骨折もあるが、通常は近位骨片が中枢に数mmから数cm移動する。
(症状)
➀疼痛
➁腫脹:波動を触れることがある
➂陥凹の触知
➃変形
⑤運動障害:屈曲可能。伸展制限。
(合併症)
➀肘関節前方脱臼
➁尺骨神経麻痺
(整復)
患者:肘伸展位
術者:上腕三頭筋の弛緩を図り転位骨片への牽引力を除き、両母指で近位骨片を遠位方向に押圧を加えて適合。
1cm以上の離開は観血療法
(固定)
範囲:上腕近位端~MP手前まで
肢位:肘伸展、回外位
※肘伸展位で固定する骨折:肘頭骨折、モンテギア骨折屈曲型
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