事件の概要としては黒田容疑者が去年９月、試験問題の全体の内容について話し合う会議に出席し、ほかの委員が問題の案を読み上げた際に無断で携帯電話で録音していた疑いがありその内容を三橋容疑者に伝えていたと指摘されています。

それを三橋容疑者が講師を務める専門学校の教員に、２０２２年２月に必修問題の要点となるキーワードを記したデータなどを複数回にわたってメールで送って疑いが指摘されています。

三橋容疑者が勤めている専門学校の合格率は昨年の７７％から９７.３%となり全国平均より約１６％高い結果でした。

今後の事件の流れ

警視庁は長期に渡る犯行で広範囲にわたる犯行の可能性があるとして捜査を進めるようで、より深い調査が必要になります。

今回のこのケースで教え子、学校教員、今後の国家試験試験作成で重い処分、様々なケースを考察してみます。

 

その上で今回の事件に関係してくる重要な柔道整復師法について紹介します。

不正行為者の受験停止等（法第１３条、第１３条の６）

厚生労働大臣は、試験に関して不正の行為があった場合には、その不正行為に

関係のある者について、受験を停止させ、又はその試験を無効とすることが

できる。

さらにこの者については期間を定めて試験を受けることのできないものとすることが

できる。

 

容疑者らの教え子

重い処分

⇒国家試験の不正受験とみなされ、この学校の全ての受験生の合格の取り消し。

模試等で行った問題が国試の漏洩問題とは知らなかったとしても、一定の利益を得て合格している。

また、過去にさかのぼり合格の取り消しの可能性もある。

他の例で考えるとオレオレ詐欺の受け子も中身をよくわからないで仕事をしたとしても犯罪を行っているため一緒に逮捕される。

軽い処分

⇒生徒自身は教員が勝手に行った授業で防ぎようがないため、生徒自身の合格の取り消しはない。

 

他の事件での参考例

⇒２００９年の看護師国家試験問題漏洩事件。

概要

２００９年の看護師国家試験問題漏えい事件とは、２００９年２月に行われた国家試験で当時試験委員として看護師国家試験の作成に携わっていた、JA広島厚生連尾道看護専門学校副校長が試験直前の学校の模試２回で国家試験に出題される問題２４０問のうち７２問類似した問題を出題していた。

 

処分

・副校長は試験委員を免職、学校を諭旨免職。

・厚生労働省から告発され罰金３０万円の略式命令が言い渡された。

・受験生３３人は漏洩問題７２問を除いた１６８問の正答率で採点し直し３３人は全員合格水準に達していたため合格となった。

 

この看護師国家試験での問題漏洩を参考に処分すると、模試での類似問題を除外しそれ以外で判定する可能性はあります。

例）必修問題（５０問）の漏洩が２０問なら、残りの３０問で採点し２４点以上で合格等が考えられます。

そうすると合格だったのに不合格になる人と、不合格だったけど合格になる人（たぶん少ない）がでてきます。

合格だったのに不合格になった人は

・就職して半年経つが勤めていたところを退職させられる。

・勤め先の職場に穴があく。

・半年後に再受験しなくてはいけない。

などが考えられます。

学校教員の処分

重い処分

⇒試験の情報を知り得たうえでの模試問題作成や授業を行っているので、漏洩に加担したとして教員も逮捕される。

逮捕され教員不足になり授業ができなくなると、在校生は単位が足りなくなる可能性も考えられます。

 

軽い処分

⇒違法行為を行ったのは容疑者２人なので、学校教員は処分されない。

 

今後の国家試験作成

軽い処置

⇒今後は絶対に試験流失がないように厳重に管理する。（従来通り）

重い処置

⇒学校教員の試験委員はすべて外し、外部に委託する。

外部で作成すると傾向が変わり、学校での教育には関係ない人物が作ることとなり実際の学校教育にそぐわない試験問題が増えて難易度が増す可能性が考えられます。

 

また、他の全ての試験委員が所属する専門学校に調査が入る。

他でも行われていないか調査がされる。

 

現在の３年生

容疑者の学校生徒の３年生は、処分の対象にはならないと思われます。

ただ、学校教員も同時に処分されるパターンは最悪です。

授業ができなくなり、卒業の単位が足りなくなり、国家試験を受験できなくなる可能性も考えられます。

その他の学校の３年生も影響はないと考えられるので、いままで通り受験勉強に励むことがベストです。

しかし、今後の事件の捜査などにより試験委員が変更され外部の人間が作る試験となった場合、試験傾向が変わる可能性もあります。

 

まとめ

・柔道整復師国家試験の問題漏洩で２人が逮捕された。

・今後の処分は決まっていないが、卒業生、学校教員、国家試験委員たちに何らかの処置がされる可能性がある。

・この授業ってもしかして国家試験の問題漏洩しているかも？と思った授業を受けた受験生は正直に申告した方がいいかも。