柔道整復学 理論編 大腿骨遠位部骨折
大腿骨遠位部骨折
分類)
1. 大腿骨顆上骨折
2. 大腿骨遠位骨端線離開
3. 大腿骨果部骨折
4. 内側側副靭帯付着部の裂離骨折
1.大腿骨顆上骨折
(発生)
骨粗鬆症の高齢者が膝屈曲位で膝を衝き転倒した際に発生するものが多い
直達外力:交通事故、スポーツ外傷で大腿骨遠位部に強い衝撃
介達外力:屈伸、捻転の強制
(分類)
1. 屈曲型
骨折線:前方から後上方
近位骨片:前内方(大内転筋、大腿四頭筋)
遠位骨片:後方に短縮(腓腹筋)
2. 伸展型
骨折線:後方から前上方
近位骨片:後方
遠位骨片:前方
症状
・疼痛、機能障害
・大腿部の著明な腫脹
・下肢短縮
・膝窩動脈、脛骨神経損傷(後方に突出した骨折端による)
・半月などの軟部組織損傷を合併
緊急手術対象
・膝蓋部に拍動する血腫が認められるとき(膝窩動脈の断裂を示唆)
・下肢の冷感が高度な場合(循環障害)
治療法
咬合骨折、転位のわずかな骨折のみが非観血療法
その他は観血療法
固定:膝軽度屈曲位で大腿近位端部から(外側:大転子、後方は臀部)足部まで固定骨癒合まで
期間:8週以上が必要
高齢者の場合や褥瘡,沈下性肺炎などに注意
2.大腿骨遠位骨端線離開
概説
多くは8歳~10歳の小児に発生
発生機序
交通事故スポーツ外傷高所からの転落で発生
分類(伸展型,屈曲型,外転型)
1.伸展型
発生:膝関節伸展位で前方から大腿骨遠位部に外力
近位骨片:後方
遠位骨片:前上方
2.屈曲型
発生:膝関節屈曲位で前方から大腿骨顆部に外力
転位:遠位骨片は近位骨片に対して後方に転位する
3.外転型
発生:膝関節伸展位で外側から大腿骨遠位端部に外力
転位:骨端部は三角形状の骨幹端の骨片を付着したまま外方へ転位
症状
・著しい腫脹疼痛
・ひざ関節部の運動制限
・変形
合併症
・膝窩動脈損傷
・成長障害
治療法
1.伸展型
患者:背臥位とし股関節60°膝関節伸展位
助手:下腿長軸方向に十分に牽引
術者:母指で前方に転移した前方に転移した骨片端部をまず大体長軸方向へをし下腿の牽引を緩めることなくひざ関節を徐々に屈曲させ同時に術者が遠位骨片端部を後方へ圧迫して整復
固定
膝関節90°屈曲位で固定
2.屈曲型
患者:背臥位
助手:下腿長軸方向への牽引とひざ関節の伸展をさせる
術者:近位骨片を後方へ遠位骨片を前方へ圧迫して整復
固定
膝関節伸展位で固定する
3外転型
患者:背臥位、股関節軽度屈曲
助手:大腿を保持させる
術者:下腿長軸方向へ十分に牽引し、ひざ関節を伸展させ外方に転移した骨幹端部の骨片を含む 遠位端部を内側へ近位骨片端部を外側に圧迫して整復
ひざ関節伸展位または軽度屈曲位で固定する
3.大腿骨顆部骨折
概説
下部骨折は関節内骨折膝関節面の形態変化と関節構成体の損傷を伴うため可動域制限内反変形、外反変形、動揺性などを残しやすい
分類
・外顆骨折
・内顆骨折
発生
直達外力
膝関節軽度屈曲位で直接強力な力が作用
介達外力
膝関節伸展位で強力な軸圧が加わった時に発生
発生メカニズム
外転力:圧迫力により外顆骨折+牽引力により内側側副靭帯の大腿骨付着部の裂離骨折
内転力:圧迫力により内顆骨折
症状
・疼痛、機能障害、関節血腫、関節部の腫脹著明
・外果骨折:外反
・内果骨折:内反
・疼痛関節包靭帯の断裂により関節の動揺性
・半月の損傷で痛みクリック
治療法
転位のないもの:大腿骨近位から足 MTP 関節の手前まで5~6週の副子固定
転位のある外顆骨折:膝内側方向に牽引し内側下方に直圧して整復
転位のある内科骨折:膝外転方向に牽引し外下方に直圧して整復
整復後の関節裂隙の不正に注意
通常,観血療法
d.内側側副靭帯付着部の裂離骨折
発生
膝関節外転・外旋の強制
症状
限局性圧痛
他動的な膝関節側方動揺性
合併症
内側半月損傷
治療法
膝:軽度屈曲位で外転制限固定
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