柔道整復学 理論編 上腕骨近位端部骨折
上腕骨骨折
上腕骨近位端部骨折
(概要)
主に介達外力、少年期・高齢者に多い
(分類)
結節上骨折:骨頭部骨折、解剖頸骨折
結節下骨折:外科頸骨折、大結節骨折、小結節骨折、結節部貫通骨折
骨端線離開
骨頭部骨折
(発生)
激突などの肩部の強打
(症状)
1. 肩関節に打撲傷の様相。捻挫と誤診されやすい
2. 関節内血腫
3. 機能障害、内出血
4. 外科頸骨折、結節部骨折よりも腫脹は少ない
5. 激しい疼痛
6. 軸圧痛
(固定)
肩70°~80°、水平屈曲30~40°
(予後)
・関節内骨折のため骨癒合が起こりにくい。
・近位骨片は血流障害により阻血整骨壊死に陥る。
・外傷性関節症を起こすことがある。
解剖頸骨折
(概要)
関節内骨折、高齢者に多い
(発生)
転倒し肩部を強打
(症状)
1. 変形少ない。噛合骨折の場合わずかに短縮
2. 関節内血腫
3. 上腕の機能障害
4. 軋轢音
5. 自発痛、限局性圧痛は著明
(固定)
肩関節外転70~80°、水平屈曲30°~40°
(予後)
噛合骨折は経過良好
高齢者の場合骨癒合が悪く、長期固定により関節拘縮・機能障害
骨頭壊死、外傷性関節症
上腕骨外科頸骨折
(概要)
高齢者に好発。代表的な骨折
(発生)
転倒時に肘や手をついたりする、介達多い
(分類)
外転型(遠位骨片が外転位)
内転型(遠位骨片が内転位)
(症状)
1. 骨折血腫著明
2. 肩関節前方脱臼に類似するが、三角筋の膨隆は消失しない
3. 皮下出血班(上腕内側~前胸部)
4. 機能障害、限局性圧痛。噛合の場合はわずかに自動運動可能
(転位・変形)
骨軸 変形 固定
外転型骨折: 骨折端部が内方 前内方凸 内転位固定
内転型骨折: 骨折端部が外方 前外方凸 外転位固定
(固定)
外転型:2~3週間後に良肢位に直す。
外転副子、ミッデルドルフ三角副子、ハンディンングキャストなど
(合併症・続発症・後遺症)
1.肩関節脱臼
2.血管損傷
3.神経損傷⇒腋窩神経(三角筋まひ)
4.肩関節亜脱臼(固定中にみられる骨頭の下方移動に伴う不安定性
5.機能障害⇒肩関節の拘縮。特に外転・外旋制限
大結節単独骨折
(発生)
直達または付着筋の裂離骨折
肩関節前方脱臼に合併することが多い
(治療・固定)
転位少:提肘
転位大:外転外旋位固定。整復不良で観血療法
小結節単独骨折
(発生)
直達または裂離骨折。きわめてまれ
肩関節後方脱臼に合併することがある。
(治療・備考)
肩関節下垂内旋位で安静保持。
上腕二頭筋長頭腱脱臼を合併することがある。
最近のコメント